人の姿になれる犬たちがよりそってひそかに暮らす不思議で優しい町、マッドクリーク。人里離れているはずのその町にもいろいろな人間も犬もやってくる。孤独な人間や、傷ついた犬たちも…
植物を育てるのは好きだけれども人づきあいは苦手なティムは、人生に行き詰まって最後のやり直しにマッドクリークの町へとやってくる。
なんだかとてもみんな親切な、親切すぎるほどの住人たちの中、一人ティムを敵視してくるのが強面の保安官、ランスだ。
ティムは知らないが、じつはランスは由緒正しい血筋——ボーダーコリーの四代目で、町を守る義務感にあふれている。ティムがマリファナを育てていると疑ったランスは、この新しい住人に目を光らせ、ついに犬の姿でティムの車の前へとび出す。
ジャーマンシェパードのローマンは、ヒトの姿になれる「クイック」となってマッドクリークの町へたどりつき、今は保安官助手をやっている。
その町にDEA(麻薬取締局)の捜査官がやってくると聞いて、ランスは大慌てだ。この町の秘密を知られてはならない!犬たちが暮らすこの町を守らねば!
ローマンはその捜査官、マットにぴったりくっついて逐一行動を監視することになった。だが段々と、マットと一緒にいることが楽しくなって…
戦場で傷ついた過去を持つ犬が、ついにまた心を開ける人間を見つけたのかもしれない。ただしマットに町のことを知られてはならない!絶対!
ヒトになれる犬たちが暮らす町、マッドクリーク。町を離れ遺伝学者となったジェイソンは、育ったこの町へやむなくもどって来ることになる。彼の野望は、クイックになる仕組みを解明することだ。
古い友人を見舞いに行ったリリーは、ホスピスで患者たちをいたわる犬がクイックであることを発見する。ひとりぼっちのその犬マイロは、マッドクリークへつれて来られて、少しの間ジェイソンと同居することになるのだった。ぴったりの被験者として。ジェイソンはそう言い聞かせていたが、マイロは初日から彼のベッドで眠ろうとして…。
飼い主を失い、処分施設に入れられたラブラドールのサミーは人間を信用できずにいた。
ある男から保護シェルターに引き取られたが、そこから逃げ出し、ふしぎな犬が教えてくれた犬たちの楽園を目指す。「マッドクリーク」を!
脱走した犬の行方をGPSで追い、犬を愛する男・ラヴはカリフォルニアのある町に行きつく。そこは「まるで犬のような振る舞いをする」おかしな住人でいっぱいだった。いや、よく見るとわかる……あれはプードル、あれはテリア、これはボーダーコリー……!