好きだと言って、月まで行って
N・R・ウォーカー
翻訳/冬斗亜紀 装画/小野ユーレイ
To the Moon and Back(N.R.Walker)
長年のパートナーに出ていかれたギデオンは、妹の赤ん坊をひとりで育てていたがもう限界だった。たよったのは住み込みのナニー、ロンドン帰りで有能とお墨付きのトビー。
ニコニコして子供にも好かれるトビーのおかげで、ギデオンの暮らしは見違えるように軌道に乗った。子供におかしなあだ名をつけるトビーの癖だけはギデオンには理解不能だったが。
段々と惹かれあう二人だが、雇用関係としてのけじめだからとお互いにその気持ちを拒否する。何より今の暮らしが最高だった。大人二人とちっちゃいひとり、そのにぎやかで手探りですぐ去ってしまう健やかな毎日が。
だけれども、ある日それが一変する。きっかけは鶏肉だった。
ためし読み